06th 10月 2009

自社株の納税猶予制度の狙い

前回ご紹介した「自社株の納税猶予制度」(平成20年10月1日以降の相続から適用)の狙いについて簡単にまとめていこうと思います。納税猶予制度の目的は「中小企業の事業承継の円滑な運営」にあることは前にもご照会しました。その内容を経済産業省の「平成20年度税制改正について」から要約して抜粋すると・・・

(1.)中小企業においては、その大株主が代表者として経営に従事し、個人資産を会社の事業の用や担保に供していることが多くあります。このような中、経営者に係る相続の発生は、単に家庭内の私的問題に留まらず、会社の事業の継続・発展に大きな影響を与えることができます。

(2.)経営者の相続財産の多くは株式等の事業用資産。換金性の乏しい非上場株式等に係る相続税負担は、結果として、会社の経営の不安定化を招きかねません。

(3.)今回の事業承継税制の抜本拡充により、中小企業の事業の継続・発展に際しての障害を除去することが可能となり、地域の雇用確保、経済活力の維持が実現できます。

つまり今回の納税猶予制度は、中小企業の経営者の相続問題による事業承継の障害に対して有効な改正をするという狙いがあるのです。身近な例をあげると、中小企業を経営している父親が亡くなってその子息が会社を継ぐというケースで、相続税支払のために資金調達が必要となって事業が傾いたのでは、国が事業承継の障害になってしまっている憂うべき状況だということです。

非上場株式等に係る相続税の軽減措置が現行の10%減額から80%納税猶予に大幅に拡充され、対象範囲をを中小企業全般に拡大するという改革の狙いは、単なる負担軽減だけを狙ってのことではなく、納税猶予を受けたあとの事業継続にも縛りを設けることで事業存続を動機づけるものにもなっています。

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04th 9月 2009

自社株の納税猶予制度

税制改正で自社株の納税猶予制度(平成20年10月1日以降の相続から適用)が創設されました。
この納税猶予制度は、経営を承継する相続人が相続等により取得した特例適用株式等(自社株の発行済株式総数の2/3までの部分)の80%部分にかかる相続税の納税の猶予を受けられる制度です。

この納税猶予制度が対象となる会社の条件は、中小企業基本法の中小企業(※ 例えば、製造業であれば資本金が3億円以下、又は従業員が300人以下であること)であること、非上場会社であること、資産管理会社ではないことです。

資産管理会社とは、事業実体が無く、有価証券、不動産、現預金等の合計額が総資産額の70%を占める会社及びこれらの運用収入の合計額が総収入金額の75%以上を占める会社のことを指します。(持株会社とか、ホールディング会社などが該当します。)

自社株の納税猶予の対象となる被相続人(死亡した人)の要件は、会社の代表者であったこと、被相続人と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、さらに同族内で筆頭株主であった場合が対象となります。

自社株の納税猶予の対象となる相続人(承継者)の要件は、会社の代表者であること、被相続人の親族であること、相続人と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、さらに同族内で筆頭株主となる場合が対象となります。

相続税の申告期限から5年間は、代表者であること、特例適用株式等を継続保有していることが納税猶予制度の適用条件となります。

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07th 8月 2009

そもそも納税猶予って・・・

そもそもですが、納税猶予制度とは、相続人が農業を営んでいた被相続人から農地等を相続するケースにおいて、農業を継続する場合に限定で、農地価格のうちの農業投資価格を超える部分に対しての相続税の納税を猶予してもらうことができ、なおかつ次の相続、農業後継者に対する生前に一括贈与があるまでの期間、もしくは相続税の申告期限より、原則として20年までの期間その農地等で農業を継続した場合に限っては、猶予税額を免除するという相続人のための制度です。つまり、農業経営の存続および細分化を防止するための制度となっています。

ここまで長ったらしく書いておいてなんですが、相続税というのは、親族などが死亡したことにより財産を承継した場合や遺言により財産を譲り受けた場合に生じる税金のことです。死亡した人を「被相続人」とよび、相続によって財産を承継した人を「相続人」と言います。

今から10年ほど前の数字になりますが、国税庁が2000年10月末に発表した税務署の「相続税」の調査実績(1999年7月~2000年6月)によると、 1998年の被相続人の数(亡くなった人の数)は93万人余りで、その被相続人のうち相続税の課税対象となった人は5万人弱で全体の約5%だったそうです。相続税の最高税率は70%でとても高いと感じますが、70%の税率の人は年に数人程度と言われています。つまり、ほとんどの人は相続税を納める必要はないともいえます。

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06th 7月 2009

贈与税とは?

前回は納税猶予を考えるうえで必要になる「相続税」についてその成り立ち、考え方の基本をご紹介しました。
今回はその「相続税」の補完税とも言われる「贈与税」についてご紹介していきましょう。

この「贈与税」とは、個人から現金や不動産など価値のあるものを譲り受けた時にかかる国税です。また、実際の価値(価格)よりも著しく低額で財産を譲り受けたり、債務を免除してもらったときにも贈与税は適用されます。
しかし、贈与税には「基礎控除110万円」がありますので、年間110万円以下の場合、贈与税はかかりません。

この「贈与税」が作られたのは、「相続税」を回避するために行う「生前贈与(せいぜんぞうよ)」のためです。
もしも生前贈与が認められてしまうと、相続税の存在意義がなくなってしまいます。このため、贈与税は相続税よりも税率が高めに設定されており、負担額が大きくなっていることが特徴です。
(※こうした背景があるため、贈与税は「相続税法」に規定されています。)

贈与税の対象となる財産は、「金銭・土地・建物・宝石」などの一般的な財産だけではなく、「貸付金・営業権」などの経済的価値のあるものや、実際には贈与を受けていない、いわゆる「みなし贈与財産」なども、贈与税の対象となる場合があります。

この「みなし贈与」とは要するに、「本来の贈与」ではなくても、実質的に贈与を受けたのと同じように経済的利益があるならば、贈与があったと「みなす」ということです。具体的な「みなし贈与」には、債務免除、親族間の金銭の貸借、自分が保険料を払っていない生命保険金の受け取りなどがあります。

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05th 6月 2009

相続税とは?

今回は「相続税」について考えていきましょう。
納税猶予制度を理解する上でも、相続税とその補完税とも言われる贈与税を知っておくことは大変重要だと思います。

まずは相続税の歴史ですが、日本では100年ほど前(明治37、38年頃)に制定されたのが初めてだといわれています。きっかけは日露戦争の戦費調達が目的だったそうです。現在の相続税は、昭和25年に制定された相続税法によるものです。

こう考えると相続税の歴史は意外と浅く、明治以前には相続税という考え方自体がなかったことがわかります。
(しかし、社会科学が発達していなかったため、私有財産という概念自体新しいものなのでしょうがないといえばしょうがないですよね。)

もともとは戦争のための資金集めという目的があった相続税ですが、現在では「富の再分配」という基本思想があると言われており、以下の考え方がこめられていると考えられています。

(1.) 封建化の阻止
封建制度の本質は「世襲」であるが、相続税により財産を削ぎ、富の蓄積そして富の蓄積によりおこる身分階級の固定化(封建化)を防ぐ。
(2.) 遺産税
人は死ぬときに、生前に築いた財産を社会に還元すべきであるとの考え方。
(3.) 遺産取得税
相続という偶然の事象による財産の取得を抑制すべきであるとの考え方。労働収入や投資収入などの他の経済収入に比べて遺産収入は経済活動に対する報酬が皆無に等しい。よって経済の効率から考えてその税率は高く設定すべきであるとの考え方。

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12th 5月 2009

納税猶予制度の意義

以前にもご紹介しましたが、昨年度(平成20年度)の税制改革によって、納税猶予制度が改正されました。
この納税猶予制度改正の意義・意味について私見を含めご紹介していきたいと思います。

納税猶予制度改正のメインテーマは、中小企業・零細企業の円滑な事業継承にあると思われます。
中小企業の経営者の相続に関しては、相続問題による事業承継の障害が多いという現状に対して有効な改正をするという狙いがありました。簡単な具体例で言うと、国に税金(相続税)を払うために事業をたたんで資金捻出を行わなければならないということがないようにするということです。

また日本を底辺で支える中小企業の事業承継税制の改革は、単に事業承継を円滑にすすめるためだけにあるのではなく、地域の雇用確保、引いては国の経済活力の維持にあるといえます。
特に昨年来の大不況のあおりで地方を中心に急速に中小企業・零細企業の倒産・廃業が続いており地方の雇用情勢は悪化の一途を辿っています。

納税猶予制度はそうした中小企業の事業継承、引いては地方の雇用確保が目的のひとつになっていると考えられます。
またこうした間接的な税制改正に加えて、もっと直接的な納税猶予というものを検討してもいいのではないでしょうか。

不況時には必ず起きる貸し渋りや貸しはがしといった問題に対処するためにも、雇用確保を条件とした法人税の納税猶予や消費税の猶予などです。
地方財政を支える法人税猶予は難しいかもしれませんが、検討してみてもいいのでは。

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06th 4月 2009

閑話休題~新年度スタート

このブログを読んでくれる方は、多少なりとも経理のこととか税務のことに興味のある方だと思います。営業や研究開発などといった職務とは違って、経理や人事、税務といった仕事はつまらない仕事と思われがちですが、なくてはならない大切な仕事だと思います。是非、自信を持って積極的に取り組んでもらいたいと思います。

・・・と、なぜこんな話から始めたかというと、世間は新年度、新学期のスタートを迎えたからです。新入社員の方も今日から配属先に始めていくという方もいらっしゃるかもしれません。自分の希望する部署や仕事につけないとぼやいている方もいるかもしれません。

最近は特に不景気のあおりで就職難のため、そんなグチはおおっぴらには聞きませんが、内心はイロイロ不満もあるでしょう。
でも会社の組織に入ったからには、会社の命令は基本的に服従するのがルールです。反社会的な命令や、理不尽な命令には従う必要はありませんが、自分の好みと違う、とか、やりたいこととは違う、といった理由で断ることはできません。

社会人として組織に属するということは、幾分かは自分を犠牲にすることではないでしょうか。「そんなのおかしい」「自分は自分」という人は、会社に入らずに個人事業者になるべきです。(☆少し極端に話しています)
・・・と言っても、ずっと自分を押し殺していなければならないというわけでもありません。組織に慣れてくれば、自分の活かし方も方法が増えてくることに気づくはずです。慣れるまでは頑張りましょう!

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05th 3月 2009

災害と納税猶予の関係

今回は「災害」を受けた場合に、納税が猶予される制度について詳しくみていきましょう。納税者が災害によって被害を受けた場合、いくつかの定められた国税について納税の猶予を受けることが可能なのです。この制度には、(1.)災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予と(2.)災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予の2つがあります。

(1.)災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予
災害により全積極財産の概ね「20%以上」の損失を受けた場合が「相当な損失」と認定され、この納税の猶予を受けられます。納税の猶予期間は、損失の程度により、納期限から1年以内となります。また、この納税の猶予を受けるためには、災害のやんだ日から2ヵ月以内に、「納税の猶予申請書」及び「被災明細書」を提出する必要があります。

(2.)災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予
「災害その他やむを得ない理由」に基づき、国税を一時に納付することが出来ないと認められる場合には、税務署長に申請をすることにより、納税の猶予を受けることができます。また、納税の猶予を受けられる国税は、災害等により被害を受けたことに基づき、一時に納付することができないと認められる国税です。

納税の猶予期間は、原則として1年以内の期間に限りますが、猶予の期間内に納付ができないやむを得ない理由がある場合は、既に認められている猶予期間と合わせて2年を超えない期間内で、申請により納税の猶予期間の延長を受けることが可能です。(最長2年)

従って、同一の災害を理由として、(1.)災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予と(2.)災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予及びその猶予期限の延長により、合わせて最長3年間の納税の猶予を受けることができます。

この納税の猶予を受けるためには、「納税の猶予申請書」の提出が必要ですが、(1.)災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予とは異なって原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要となります。また、(2.)の納税の猶予は、原則的に申請に対する期間制限がありません。

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04th 2月 2009

納税猶予農地を収用?

前回ご紹介した「農地などを相続した場合の納税猶予」に関連して、納税猶予農地が収用された場合を想定してケーススタディをしてみましょう。

この農地の納税猶予とは簡単に要約すると、「農地等を相続した相続人が農業を継続する場合には、農地等の価格のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税については、一定の要件のもとに納税猶予期限までその納税が猶予されるとともに、納税猶予期限まで納税が猶予された相続税は原則として免除されるという制度」です。この納税猶予期限や、納税猶予の適用を受けることができる人、納税猶予の対象とされる農地等については条件があるのですが、詳しくは前回の内容に任せて話を進めていきます。

今回のケーススタディは、納税猶予を受けるための要件の中の『相続税の申告期限後20年間農業を継続』というものについて、この期間中に収用になってしまったら?」ということで考えてみましょう。つまり収用によって「納税猶予」の要件から外れてしまうことになるわけです。

「収用」とはいえ、納税猶予の要件から外れてしまうわけですから、その時点で納税猶予はなくなり、免除される予定であった相続税を納税しなければならなくなります。そして、納税猶予の要件から外れて本税を納付する場合、通常申告期限から利子税がかかってしまいます。

しかし上記の場合「収用」によるもので、自分の意思による譲渡や土地利用方法の変更ではないので、利子税の軽減の特例を適用することが出来ます。(※特例を適用して軽減される利子税の額は2分の1になります。)

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07th 1月 2009

農地などを相続した場合の納税猶予について

新年明けましておめでとうございます。100年に一度の大変な不況と言われる現在の状況ですが、前向きにがんばっていきまっしょい。
早速ですが、前回は事業承継税に関する納税猶予の法改正について簡単にまとめました。
今回は、農業相続人が農地などを相続した場合の納税猶予についてまとめていきましょう。

納税猶予制度の概要をまとめると、農地等を相続した相続人が農業を継続する場合には、農地等の価格のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税については、一定の要件のもとに、納税猶予期限までその納税が猶予されるとともに、納税猶予期限まで納税が猶予された相続税は原則として免除されるという制度です。

上記の納税猶予期限は、次のうちいずれかの一番早い日になります。
 1.農業相続人が死亡した場合には、その死亡の日
 2.農業相続人が、その農地等について贈与税の納税猶予が認められる生前一括贈与をした場合には、原則としてその贈与があった日
 3.相続税の申告期限後20年間農業を継続した場合には、その20年目の日(農地等に都市営農農地等が含まれている場合を除きます。)

上記の納税猶予の適用を受けることが可能な人は、次の要件に該当することについて農業委員会が証明した被相続人の相続人に限られます。
(1)被相続人は、死亡の日まで農業経営を行っていた人または農地等の生前一括贈与をした人、(2)農業相続人は、被相続人から相続又は遺贈により取得した農地等について、相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後引き続き農業経営を行うと認められる人(第二次相続人を含む。)または被相続人から生前に農地等の生前一括贈与を受けた人です。

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